『2030年はどのような世界になっているでしょうか?』
おはようございます、こんにちは、こんばんは。
じおーた(Twitter@JiotaQq8888)です。
・「ドラゴンボール」に出てくる西に都のように空飛ぶ車やバイクが走る世界
・「ターミネーター」で描かれたロボットやAIと共存する世界
・永遠の命と若さとまではいなかくても平均寿命が120歳になる世界
あなたが子供のころ、自分が大人になった世界はそんな世界がやってくると考えたことはありませんか?
「空飛ぶ車なんてまだまだ先だよ!」
「ロボットやAIが発達しても人間と同じように働けるには自分が死んだ後の話じゃないの?」
「治らない病気がだくさんあるのに、老化しないなんて夢のまた夢でしょ!」
2022年現在、そんな風に小さいころワクワクしていた気持ちを忘れ去った大人も多いんじゃないでしょうか。
今、自分が過ごしている日常だけに目を向けているとそう思うのも無理はないでしょう。
それはあなたが水面下で進んでいるテクノロジーの進化について見聞きすることがないからです。
実際は、自分の知らない世界のどこかで驚くべきスピードでテクノロジーは進化し、空飛ぶ車で移動する世界も、ロボットやAIが助けてくれる世界も、難病が治ったり、老化を防ぐだけでなく若返る世界さえも2030年には訪れる可能性を秘めているのです。
本書は来たる2030年がどのような世界になるかを記載しています。
私たちは、生まれたときから年を経るごとに便利な世の中になっていく世界を享受し、時代の変化についていきながら生活をしています。私もスマートフォンをはじめとするテクノロジーの進化の賜物を享受しながら年々便利な世の中で生きています。ただ、惜しむらくは先にどのような世界が来るかを知ることで「時代の変化を後追いするのではなく、変化を予見していずれ訪れる未来に対応できるよう自分磨きすればよかった」と後悔していました。
あなたも本書を読めば、2030年までにどのような世界が実現されるのか、そして自分はその世界でどのように生きていくのか、を考えることができます。
私は医師ですし、このブログも医療従事者を対象として書いているので本書の内容紹介は医療分野を中心に書いていきます。
医学生や、初期研修医・専攻医は未来の医療の世界を知るために必ず読んでほしい1冊になります。
ということで、始めます。
本日の目次(タップすると飛ぶよ)
「2030年」から得られるもの
本書のキーワードは「コンバージェンス(融合)」です。
本書は全業界のこの先10年の未来を示した全方位ガイドと言っても過言ではありません。
著者の盟友イーロン・マスク氏も言っているが、衝撃の未来は従来の予測より20年早く訪れると。
予想より早く訪れる近未来の情報を知ることで、あなたのライフスタイルに必ず変化が訪れるし、自分の生き方そのものを考えるきっかけが得られるでしょう。
著者 ピーター・ディアマンディス(Peter H. Diamandis)のプロフィール
- マサチューセッツ工科大学(MIT)で分子生物学と航空工学の学位取得
- ハーバード・メディカルスクールで医学の学位取得
- 長寿、宇宙、ベンチャーキャピタル、テクノロジー分野で20以上の会社を設立
- シリコンバレーのシンギュラリティ大学創立者にしてエグゼクティブ・チェアマン
シンギュラリティ大学は教育・エネルギー・環境・食料・世界的な保険・貧困・セキュリティ・水資源など人類の最も困難な課題に対して、加速度的に発展する革新的技術を使ってこれらの課題に積極的に取り組むことをミッションとしています。
著者自身も様々な分野に精通し、その分野で起業してきたからこそ、幅広い分野の現在~未来を知っているのでしょう。
本書はそんな著者がSF映画の中の世界が、近い未来に現実に起こりうることを惜しみなく記載してくれた、最強の未来予測本になります。
【要約】医療の未来 9個の抜粋ポイントと結論
ポイント①:人体の部品交換
自動車でも建物でも機械でも古くなった部品は交換されます。
人体でも同じように部品交換を行えばいい、という発想から移植用の臓器開発研究が進められています。
当初はブタの臓器を用いていましたが、動物に害を与えないという観点から3Dプリンティングと幹細胞を用いた人工臓器の開発が期待されます。
さらに、エレクトロニクス材料が3Dプリンターで印刷可能になったことで、人工眼や移植用臓器に目処がたってきました。
ポイント②:真のヘルスケアへ転換
後述するポイント③と併せて2つのパラダイムシフトが進んでいます。
いままでの医師の働きは病気になった人を治すことに主眼があり、ヘルスケア(Health care)というよりはシックケア(Sick care)でした。
真のヘルスケアでは事後対応ではなく、先手を打つ予防医学や疾患の早期発見に重点が置かれるでしょう。
ポイント③:マネジメントの主体が変わる
今までの医療は大手製薬会社と政府と医療従事者(医師や看護師など)の危うい協力関係で成り立っていました。
ロボットやAIが主体となれば、開発・イノベーションを手掛けてきた大手テクノロジー企業がマネジメントの主体に変わるだろうと言われています。
候補はApple, Google, Amazon, Meta, Samsung, 百度(バイドゥ), Tencentなどです。
ポイント④:モバイルヘルスケアの時代
ウェアラブル・デバイスでの症状診断が進むでしょう。
これは身体的疾患に限らず、なんと精神疾患にも及ぶことが期待されています。
ポイント⑤:遺伝情報の編集で16,000もの難病が治療可能になる⁉
聖書ではたった1つの病を癒すことが「奇跡」とされていましたが、遺伝情報の編集が可能になると16,000もの疾患が治癒可能となります。
奇跡の16,000倍はなんと言えばいいのでしょうか?
ポイント⑥:ロボット外科手術の進歩
TBSドラマ「ブラックペアン」ではダーウィンというロボット手術が出ていましたね。
現実世界でもダヴィンチによるロボット手術が盛んになってきておりますが、操作主はあくまで人間なんですよね。
今後はロボットによる手術も行われるようになるし、マイクロボットによる局所への治療も期待されつつあります。
ポイント⑦:新薬開発の未来
創薬は長い時間と大金のかかる戦争だと本書では語っています。
なぜなら新薬の候補物質の90%以上はボツになるため、死者の数が膨大だから新薬開発はまさに戦争という言葉がぴったりです。
しかし、最近この創薬プロセスに近道ができました。
10年かかっていた戦争が1か月程度の小競り合いになってしまった、それが創薬の未来です。
ポイント⑧:「老化」の克服
健康寿命が延びれば、私たちの生産性が最も高い時期がより長く続き、より多くのイノベーションが生まれる。
老衰を引き起こす遺伝子の除去で生存期間が20%延長するようです。
もちろん、アンチエイジング薬学も「老化」の克服に一役かっていて、ラパマイシン、メトホルミン、Wntリバランス薬が挙がってました。
ポイント⑨:ドラキュラ伝説は本当⁉
並体結合と呼ばれる、昔ながらのまがまがしい血液交換の手法を近代化し、若齢マウスの循環系を老齢マウスのそれと結合させたうえで、前者の血液を後者の体内に送り込んだところ、若い地によって老いたマウスは生気を取り戻したという結果を得ました。
効果は見た目だけでなく、老齢マウスの様々な組織や臓器は若くて健康なマウスのそれと同じ特徴を示すようになっていました。
さらにこれだけではなく、逆もまた真なり、若齢マウスに老齢マウスの血液を送り込むと人生時計が一気に早送りされ、老化が加速してしまいました。
結論
「永遠の命は手に入るか」という問いの答えはまだ出ていません。
だが100歳の人を再び60歳に戻すこと、すなわち人間の生存期間を大幅に伸ばすことは、すでに「できるかどうか」から「いつできるか」の問題に移りました。

変化を求めることを恐れない
本書を読んで、私が最も共感した点は「加速する未来では、機敏さが安定性を上回る価値を持つ。つまり変化したものが生き残る。」という2文です。
医療がAIによる診断、ロボット手術、新薬による治療にとってかわられたら従来の医師では生き残っていけないでしょう。
「変化を止める=成長を止める」ことですし、常に自分自身の変化を求めることが唯一生き残る道かもしれません。
医師として激変する医療の世界で生き残るために、一人の人間として衝撃の近未来を楽しく生きるために常に変化を恐れずに過ごしていきたいと思います。
今回は、医療の未来にしぼって書評しましたが、それ以外の金融、不動産、教育、小売、広告、娯楽、交通、環境、エネルギーにおけるコンバージェンスの内容も衝撃を受けるので、ぜひ読んでみてください!
きっとあなたも「変化しなくては!」を思うことでしょう。
書籍情報
【書籍名】2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ
【著者名】ピーター・ディアマンディス、スティーブン・コトラー
【出版社】News Picksパブリッシング
【出版日】2020年12月24日
【こんな時に】これからやってくる世界を知りたいときに
【頁 数】448ページ
【目 次】
第1章 「コンバージェンス(融合)」の時代がやってくる
第2章 エクスポネンシャル・テクノロジー Part 1
第3章 エクスポネンシャル・テクノロジー Part 2
第4章 加速が“加速"する
第5章 買い物の未来
第6章 広告の未来
第7章 エンターテインメントの未来
第8章 教育の未来
第9章 医療の未来
第10章 寿命延長の未来
第11章 保険・金融・不動産の未来
第12章 食料の未来
第13章 脅威と解決策
第14章 5つの大移動がはじまる

まとめ
いかがでしたか?
医学生や研修医でも講義で聞く話、実習で見る世界と全然違う医療の未来が想像されたんじゃないでしょうか?
私は本書を読んで、とてつもない衝撃を受けたと同時に2030年以降に医師としてやっていけるか不安を覚えました。
自分がどう過ごしていても時がたてばいずれ本書に描かれている世界はやってきます。
変化しなければいずれ淘汰されることは認識できたので、日々変化することを恐れずに過ごさなければいけないことに気付くことができました。
常に学び、継続して学び、自分自身をあなた自身を変化させ、加速が加速する時代を楽しく生きていこうじゃありませんか。
医療関係者の方は、医療と寿命について書かれた第9章、第10章だけでも一読の価値はありますよ!
では。