この記事で解決できる悩み
- 臨床実習でしておいたほうがいいことがわからない
- 臨床実習で見たこと、学んだことが将来どのように役に立つのか見えてこない
- なぜ臨床実習をしないといけないかわからない
おはようございます、こんにちは、こんばんは。
じおーた(Twitter@JiotaQq8888)です。




臨床実習の期間は、大学によって若干ちがいますが、4年生後半から6年生前半までの18か月程度だと思います。
18か月の積み上げが、初期臨床研修医になったとき差になって現れるので、がんばって4つのことを積み上げましょう!
なぜなら、ここに挙げる4つのことは思い立って始めてもすぐに身につけられるものではないからです。
やったほうがいい4つのこと
- 受け持つことになった患者さん全員の身体診察
- 患者さんから話を聞く(病歴聴取以外の会話)
- 「この患者さんをひとことで言うと・・・の患者さん」を常に考える
- どこの科でも「ほかの科の医師でも知っておいたほうがいいこと」「こういう所見があったら紹介してほしい基準」を指導医に聞く
身体診察、患者さんの話を聞くスキル、一言にまとめる要約力は一朝一夕で身につきませんし、4番目の内容が役に立つのは研修医になってからです。
医師のスタートラインは、医師国家試験合格後ではなく医学部合格の瞬間からだと私は考えています。
医学部生時代の6年間の差は、研修医になったときすでについている差であるといっても過言ではないでしょう。
この記事にたどりついたあなたは、この記事を読んで実践するだけで研修医になったとき明らかに他の研修医より実力のある研修医になっているでしょう!
ということで始めます。
本日の目次(タップすると飛ぶよ)
臨床実習をなんのためにやっているのか?
臨床実習の目的
読んでいる医学生にまず聞きたいことがあります。
『君たちの目標はどこにあるのか?』
臨床実習中の医学生にとって、身近な目標は「医師国家試験に合格すること」だと思いますが、それは最終目標ですか?
違いますよね。
大半の医学生の最終目標は、「患者の診断や治療ができる医師になる」ことだと思います。
国試対策と臨床実習
医師国家試験に合格しないと医師にはなれません。
ですが、国試合格が医師としてのゴールではなく、スタート地点に立つだけです。
『国試合格≠医師としてすぐにすばらしい医療を提供できる』ですよね。
ブログと同じです。
ブログでもGoogleアドセンスに合格したら、すぐに収益が発生するわけではありません。
目先のことを考えると「国試対策>臨床実習」になりがちです。
しかし、医師の道で飯を食べていくなら、臨床の基礎力や医師になってから役にたつことを臨床実習で学ぶべきではないでしょうか?
指導医や予備校の弊害
よくないことに、指導医や予備校も「国試対策>臨床実習」となる要因を作り出しています。
あまり話を聞いていなさそうな学生たちも「この知識は国試に出るよ」と言うと真剣に聞くから、指導医も国試に出そうなことばかり教えてしまいがちです。
某予備校のサイトで実習の良い参加方法についての記事でも「実習は国試につながるよ」とは記載があり、あたかも臨床実習は国家試験のためにあるように受け取れるからです。
国試対策という目先の利益”だけ”にとらわれないようにしましょう。
ここまで読んでもらってもう一度聞きます。
『君たちの目標はどこにあるのか?』
臨床実習でしか学べないことを臨床実習中に学びましょう!
やっておくと力がつく4つのこと
技術の習得や経験を積むには「時間と量」が必要
やったほうがいい4つのこと
- 受け持つことになった患者さん全員の身体診察
- 患者さんから話を聞く(病歴聴取以外の会話)
- 「この患者さんをひとことで言うと・・・の患者さん」を常に考える
- どこの科でも「ほかの科の医師でも知っておいたほうがいいこと」「こういう所見があったら紹介してほしい基準」を指導医に聞く
「やっておいたほうがいい4つのこと」は技術(スキル)と経験がものを言います。
技術(スキル)の習得、経験を増やすには、「時間」がかかり、「量」が必要です。
そして、この4つは臨床実習中にしかできません。帰宅してからやろうと思ってもできないでしょう?
本を読んだり、テスト勉強することは家でもできますよね。

やっておいたほうがいいこと①:全員の身体診察
OSCEで習うレベルの身体診察を受け持つ患者さん全員にしましょう。
眼科の実習中でも、眼瞼結膜や眼球結膜を見て、頚部のリンパ節を触り、心音・呼吸音を聴診します。
腹部も視診・聴診・打診・触診し、下腿の浮腫を評価します。簡単な神経学的所見(腱反射やバビンスキー徴候など)も取っておきましょう。
腱反射や打診のような技術を要する身体診察は、たくさんやることでだんだんと上手になっていく手技です。
神経内科の実習中だけしか診察していない医学生とどの診療科の実習中も診察している医学生では当然差が出るでしょう。
また、正常な身体診察所見をたくさん経験することで、異常があるときに「ん?なにかおかしいぞ?」と違和感が出てきます。
異常所見を見つけるには、正常所見がわかっていないとできません。
CTファーストになりつつありますが、身体診察であたりをつけないと、全身の画像を取って、全身の画像から所見を拾い出すことになります。
身体診察であたりをつけられれば、画像で怪しいところ(身体診察で所見がある部位)を重点的に見ることができます。
だから臨床実習中から、身体診察をする癖をつけてほしいのです。
そして、身体診察も慣れてくれば、スクリーニングの全身診察でも5分程度で終わるようになります。
そうなればしめたもんですよ!

やっておいたほうがいいこと②:患者の話を聞く
時間があるときは、受け持った患者さんのところに行って、色々な話をしましょう。
入院中は検査や治療以外はけっこう暇です(私も入院経験があるのでわかります)。
患者さんは検査や治療に関して、スタッフに関して、施設に関して、自分や家族の将来に関して、さまざまな想いをもっているかもしれません。
主治医や担当医には言えない気持ちを抱えながら、学生さんには話してくれることもあるでしょう。
なぜなら、人は誰かに話を聞いてもらいたい生き物だからです。
患者さんの生の声、素の気持ちを聞いておくことは、将来自分が医師になって患者さんを担当するときに医師-患者関係を構築するのに役立つでしょう。
また患者さんが話してくれた内容を詳細に、かつ要約してカルテ記載すると医療スタッフにも役立つことがあります。
日々の生活習慣(食事内容や運動習慣、服薬状況など)が判明して、治療や指導に役立ったという例はキリがないほど多く存在します。
あなたもチーム医療の一員として、学生ながらに役に立ったという満足感・幸福感も得られることでしょう。
医師もそのような満足感・幸福感からモチベーションがあがって仕事を継続できる一因となることがありますが、
学生であるあなたも成功体験を得ることで、さらに実習へのモチベーションがあがるかもしれませんね。
私は、医学生と初期臨床研修医だったとき、時間があれば患者さんと話していました。
色々な患者さんと色々な話をしてきましたし、受け持ちでない患者さんも加わって大部屋の患者さん全員と話したこともあります。
その経験が、患者さんに厳しい話をするとき、どのように話をしていくか役立ったことがあります。
学年が上がってくると、患者さんとゆっくり話す時間がなかなか取れなくなります。
医学生のうちにたっぷり患者さんと話してください。
医師の学年が上がって、どんなに忙しくても、受け持ち患者さんとは1週間に1度はイスに座って話すようにしていました。
患者さんとの会話は、迷ったときに答えに導いてくれますから。

やっておいたほうがいいこと③:「一言で言うと・・・」を常に考える
『one sentence summary』を常に考えましょう!
指導医に相談するとき、どんな患者さんかを順番に丁寧に説明してくれる研修医や学生は多いんですが、結論までたどり着くのに時間がかかってしまいます。
一言目で、まずどんな患者さんかをイメージしてもらうために、常に「one sentence summary」を考えておくのです。
医師になるとカンファレンス、コンサルテーション、立ち話での相談などプレゼンテーションのオンパレードです。
プレゼンテーションの時こそ、「one sentence summary」の出番です!
もっとも簡単な例は「主訴が発熱で来院された、生来健康な22歳女性」でしょうか。
他の例を挙げておくと、「糖尿病で近医通院中、ネフローゼ症候群で紹介になった68歳女性」とか、「慢性心不全で当院通院中、10分前から突然の呼吸困難で救急搬送になった77歳男性」などです。
最初は、すごく長くなってしまうと思いますが、必要な情報のみに削るトレーニングを積んでいきましょう。
ちなみに、受け持ち患者のWeekly summaryの一行目にこの「one sentence summary」を記載しておくと、当直医や当番医も"非常に”助かりますよ!
前置きがやたら長くて結論までが遠いと、話を聞いていて(文章を読んでいて)「いつ結論がくるの?」って思うことありませんか?
話すときも、書く時も、One sentence summaryが最初にあるとそのイメージをもちながら話を聞いていけるので聞き手(読み手)はイメージしながら話を聞いていける(読んでいける)メリットがあると考えます。
内容よりも話すことに意義があるのはセレブなマダムたちのお茶会であって(失礼!)、医師同士や医師・看護師、医師・メディカルスタッフのやり取りでは内容が重視されますから、ぜひOne sentence summaryの力を磨いておきましょう。

やっておいたほうがいいこと④:指導医に2つの質問をする
今の自分に興味がない診療科だったとしても、将来どうなるかわかりません。どんな時にお世話になるかもわかりません。
指導医に「やる気ないなぁ」と思われるのも得策ではありませんから、2つの質問をしましょう。
将来の自分も助かるし、今の自分も助かる魔法の質問です!
魔法の質問
- 「自分は〇〇科志望なんですけど、(いま実習している診療科)で知っておいた方がいいことはなんですか?」
- 「どんな所見があったら紹介したほうがいいですか?」
指導医の視点でいうと、「質問をしてくる学生はやる気がないわけじゃないな」と考えます。つまり、今のあなたの評価が上がるでしょう。
将来、専門外だけど紹介するかどうか迷わない基準や専門家じゃなくても医師として知っておくべき内容を教えてもらえます。つまり、将来のあなたが助かるでしょう。
紹介される立場になると「なんでこんなになるまで紹介してこなかったんだ」とか「なんでこんなので紹介してくるんだ」とお怒りの先生がおられますが、変なタイミングで紹介されるのも仕方ないんです。
だって、紹介してほしい基準、紹介せずに様子を見ていい基準をお伝えしていませんもの。
ということで、指導医のみなさん、そして今は医学生だけど将来指導医になるみなさん。
「これ国試にでるよ」と言うのもいいですが、「うちの科でこれだけは知っておいてね」とか「こうなったら紹介してね」ってことを医学生に伝えたほうがいいですよ!
コラム~落合監督の結論~
コラム
就任8年で優勝4回、日本一1回と中日ドラゴンズの黄金期を築いた名将・落合博満氏の話です。
2003年に中日ドラゴンズの監督就任会見で「補強せずに、いまの戦力を10%底上げして優勝する」と宣言しました。
そして秋、「秋季練習を初めて見たとき”「あぁ、こいつら練習してないんだ”と思った」と発言しています。
冬のオフシーズン、春のキャンプと猛練習した中日ドラゴンズは2004年のセ・リーグを制覇します。
どの他球団よりも練習し、その結果が優勝という形で実を結びました。
最後は「これだけ練習したんだからできないはずはない」という気持ちが心の支えになるであろうエピソードでした。
『練習はウソをつかない』、そう思ってみなさんも身体診察やone sentence summaryがんばってください。
まとめ
本日は、「臨床実習でやっておいたほうがいい4つのこと」についてお話しました。
- 臨床実習でしか学べない4つのこと
- 習得するのに時間もかかるし、量も必要な4つのこと
- 4つのことが、将来医師になって役立つこと
臨床実習の時間中にしかできないことを、ちゃんと臨床実習の期間中にやったあなたは研修医の時点で同期の研修医よりも良いスタートを切れるイメージがついたんじゃないでしょうか?
「臨床実習中に国試の勉強よりもっと実習に参加しておけばよかった」こんな後悔をしないように有意義な臨床実習期間を過ごしてください!

では。
さいごに:同級生よりできレジになりたいあなたへ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事に興味があるあなたはきっとできるドクターやできるレジデント(できレジ)になりたいと思っているんじゃないですか?
できレジになりたいあなたには「医師になったら実際にこんな診療が役に立つんだ~」という日常診療のノウハウがつまった勉強会が役立つことでしょう。

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