指導者

【第17回】指導者への介入

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この記事で解決できる悩み

  • 他の指導者への介入は気が引けちゃう
  • 他の指導者への介入が必要な理由を知りたい
  • 上手に介入したい

自分のブースの指導者に適切な介入してますか

なぜ介入が必要なのか?

介入の必要性

自分だけではすべての指導をこなせない指導者に対してはブースリーダーや経験豊富な指導者からの介入が欠かせません。

なぜなら、教育の場で最も優先されるのは「学習者の利益」だからです。

1人前でない指導者だけでなく、時として経験豊富な指導者でも、学習者に到達させるべき目標への導き方を誤ることがあります。

目標と違う方向に学習者が進んでいるなと感じたら、遠慮なく、間髪入れず介入できる力がブースリーダーやディレクターには求められます。

しかし、常に介入すればいいというものでもありません。

介入して自分が指導してしまうのは簡単です。

指導の機会をさらわれた指導者の成長が失われます。

かといって、沈黙が長い、間違ったことを教えている、意味のないフィードバックもどきの話が続いている場合は

学習者の不利益につながります。

適切な介入は、ものすごく難しいけど、ブースリーダーやディレクターにとって必要不可欠な技術なのです。

私が介入を克服した話

実を言うと、私も他の指導者に介入することを非常に苦手にしていました

「せっかく準備して張り切って指導しているのに、横から口を出すのは申し訳ない」

「自分より早い時期から参加している先輩指導者に介入するのは気が引ける」

こんな気持ちでした。

コース中に「あ、そこはそうじゃない」と思っても、介入するかどうか悩んでいるうちに流れていったことがほとんどでした。

自分でも「他の指導者に介入できない」弱点を十分に認識はしていたんですが、行動にうつせませんでした。

当時はコースに参加するたびに毎回、自身の目標は「指導者に適切なタイミングで介入する」でした。

そんな中、内科救急のコースのディレクター実技試験を翌月に控えた頃

ディレクターとしてICLSコースを開催しました。

このコースでも(自分はまた介入できてなかったなぁ)と思いながら帰宅したら師匠からメールが届いてました。

「このままじゃ落ちるぞ。お前のコースだから黙っていたけど、来週の俺のコースではこんなざまではとてもブースリーダーとは言えない。

他の指導者をあてにするな。自分1人でもコースをすべて指導できるぐらいの気概がないとディレクターにはなれない。」

とありました。

ただでさえ、自分でも落ち込んでいたところに金属バットで後頭部フルスイングの衝撃を受けた気分でした。

さらに、コースのメーリングリストも帰宅する前に師匠のメールが投稿されていました。

「じおーた君の実力はまだまだです。今日の介入はいまいちでした。」

全体に向けても、公表されていて、完全に逃げ場をなくされていました。

翌週の師匠がディレクターのコースまでは不安の日々でした。

(このまま介入できなくてディレクター試験落ちるんじゃないか)と悩んでいました。

翌週のコースで介入がマシになっていたかどうかは、実は覚えていません。

このあともう1つ、遠征で参加させてもらった内科救急のコースでもディレクターにコース途中で同じことを言われました。

「今の介入の仕方じゃ、試験は落とされるよ。」

その後のセクションでがんばった結果、「ギリギリ及第点だな。今の調子で試験がんばれ」と言われたのは覚えています。

翌月の内科救急のコースでのディレクター試験、結果は無事合格でした。

コース会場につく前は、不安が大きく、夜も遅刻する夢で2回起きました。

始まっても朝一は不安が勝っていましたが、30分ぐらいで開き直りました。

「どうせ落ちるかもしれないなら、もう全部自分の言いたいことを学習者にも指導者にも伝えちゃおう!」

と考え、経験の浅い指導者は事前に指示を飛ばしながら、おかしなことを言い始めたら介入してコースを進めました。

結果、評価者からは「じおーた先生は若いのにブースをきっちり仕切っていて感心しましたよ。」とほめていただきました。

この成功体験がもとで、他の指導者の指導中にもすっと入って介入する技術を身につけました

介入に関しては、本当にもがいて、もがき続けてつかみ取った技術です。

ちなみに、師匠にも遠征したコースのディレクターの先生にも試験合格の報せをメールしたら

「当たり前だろ、お前の実力なら受かって当たり前。もっと腕を磨け」と言われました(笑)。

腕のいい指導者の中で育つ幸せを実感しました。

介入の実例

ここまでの話で介入の必要性、理解していただけたでしょうか?

実際にどのように介入するのかを実例を通してお話していきます。

介入のポイントは「必要なときだけ介入して、常には出しゃばらない。すっと入って、すっといなくなる。」です。

では、見ていきましょう。

BLSでよくある介入パターン

学習者に胸骨圧迫の実技をさせているとき、5㎝以上の深さが求められます。

しかし、指導者でも5㎝押せていない学習者に「いいですよ、しっかり押せていますね!」とフィードバックする方、結構います。

このケースは、介入が必須です。

周りの学習者に「本当に5㎝押せているか、評価してください。」とか

実技している学習者に「あと5㎜!がんばれ!」など介入します。

このまま流してしまうと、実技をしていた学習者は「これでいいんだ!」と思い、実際の臨床現場でも浅い胸骨圧迫をします。

学習者の不利益、ひいては患者の不利益につながるので、即介入です!

他には、バッグバルブマスクのマスク保持の仕方や胸骨圧迫時の手の位置は、指導者が流しやすい項目なので、

正しくない手技であれば、介入しましょう。

VF, pulseless VT, PEA, Asystoleのシナリオ中でよくある介入パターン

シナリオ中によく介入するのは次の3つのパターンです。

シナリオ中の介入

  1. シナリオ前の目標提示を忘れる
  2. 提示した目標の内容と違うことをフィードバックする
  3. 指導者自身が何を言っているかわからずだらだら話続けている

シナリオ前の目標提示を忘れる

シナリオが始まりそうですが、ストップをかけて目標提示をやり直させます。

もしくは、あらかじめ〇例目はどんな目標でシナリオを始めるのかを共有できていれば、自分で介入して目標提示します。

じおーた
目標提示ってなんだっけ?の方はこの記事を参考にどうぞ!
あわせて読みたい
【第1回】目標を提示する(必須)

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提示した目標の内容と違うことをフィードバックする

このパターンは、担当の指導者に少し自由にフィードバックさせます。

そのうえで提示した目標に対するフィードバックがなければ、介入します。

「ところで、提示した目標はこれこれこうでしたが、これに関してはできましたか?」

じおーた
フィードバックってなんだっけ?の方はこの記事を参考にどうぞ!
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【第2回】フィードバックをする(必須)

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指導者自身が何を言っているかわからなくなっている

この時は容赦なくカットです。

指導者の話を遮り、シナリオの要点やフィードバックの要点をかいつまんで自分が話します。

限られた指導時間しかないので、意味のない話のときはカットする非情さも時には大切なのです。

禁忌事項を流しているパターン

学習者が禁忌事項をしているのに、指導者が流している、もしくは見逃している場合は即介入です。

理由は「BLSでよくある介入パターン」と同じです。

このまま流してしまうと、実技をしていた学習者は「これでいいんだ!」と思い、実際の臨床現場でも禁忌事項を実行します。

学習者の不利益、ひいては患者の不利益につながるので、即介入です!

上手に介入するには?

介入のポイントは「必要な時だけ介入して、常には出しゃばらない。すっと入って、すっといなくなる」ことと言いました。

適切なタイミングで、適切な介入を上手にするために必要なこと、なにかわかりますか?

いままでの15回が身についているあなたにはわかるでしょう!

そう!「指導者の観察」です。

「指導者が学習者にフィードバックを上手にするために、学習者の行動を観察しましょう」と第3回でお話しました。

同様に、ブースリーダーやディレクターが指導者に上手に介入するために、指導者の行動を観察しましょう。

じおーた
指導者⇒学習者と同じ構図だったんだね!
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【第3回】学習者の行動を見る(必須)

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まとめ

本日は、ディレクターやブースリーダーに必須の技術「指導者への介入」についてまとめました。

介入で指導を乗っ取るのは簡単ですが、経験の浅い指導者が育ちません。

介入せずに見守るのは楽ですが、学習者の不利益につながるかもしれません。

適切なタイミングで、適切な介入をするのは非常に難しいですが、ディレクターやブースリーダーになる方には必須なので参考にしてください。

(心優しい方は、他人の指導を乗っ取るなんてとんでもない。あとからその人に指導のフィードバックをすればいいじゃないか)

と思う方もおられるでしょう。

私は、学習者の利益を最大限優先するために、

「指導者として、自分の指導が乗っ取られるのが至っていない点だよ」と気づいてもらうためと割り切っています

時として、自分も介入されるときがありますが、それは自分の指導が至っていないから、と思っています。

指導経験が多くなってきたら、あなたもぜひ介入をしてみてください。

では。

第18回に続く
【第18回】ブースリーダーの事前準備と事後処理

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じおーた

医師・投資家|専門を腎臓から救急に鞍替えした彷徨えるアラフォー. 投資、教育、勉強の記事を中心に書いてます. 「不易流行」変えるべきを変え、変えざるべきを変えず.

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