指導者

【第19回】ディレクターの役割

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この記事で解決できる悩み

  • ディレクターの役割を知りたい
  • ディレクターに必要な能力を知りたい

まさかとは思うけど、名前だけのディレクターなんてことはないよね

本日の目次(タップすると飛ぶよ)

ディレクターってなんだ?

あなたが思い浮かべるディレクターはどんな人ですか?

憧れの存在から名義貸しのような人までいろいろいることでしょう。

ディレクターとは、一言で言うと、コースのすべての責任を負う人です。

コースの運営(場所・機材)、指導者・学習者、開催準備から事後報告も何もかもすべてをマネジメントし、責任を負う存在がディレクターです。

ディレクターの役割は主に7つあります。

ディレクターの役割

  1. コース開催日、開催場所を決定する
  2. 指導者・学習者を集める
  3. コースに必要な資機材を準備する
  4. 開催の事前申請、事後報告をする
  5. 指導方針を明確にする
  6. コース当日の割り振りを決める
  7. 当日の緊急事態に対して対処する

これらの項目を見て気づいたことありませんか?

ディレクターの仕事は準備が9割なんです。

準備さえ怠らなければ、当日は見守りがほとんどになります。

当日バタバタとするようなら、準備不足は否めません。

コース開催日、開催場所を決定する

開催日

コースの開催日、開催場所を決定する際に、最優先していることは、キーになる指導者が参加できる日程かどうかです。

キーになる指導者は、ブースリーダーもしくはブースリーダーを補佐する立場の指導者です。

自施設の指導者でブースリーダーに育てたいけど、まだブースリーダーは難しい場合、ブースリーダーを務められる人材が必要です。

ブースリーダーを経験させたいけど、任せるのは難しい場合、熟練の指導者をブースリーダー補佐として確保しなければなりません。

このキーになる指導者がブースの数だけ確保できない日程ではコースを開催できないということです。

もちろん、開催する施設が空いていることも条件です。

開催場所

ICLSであれば、多くは自分の所属する施設を会場としているでしょう。

私も自施設のシミュレーションセンターを使用しています。

指導者・学習者を集める

指導者

私の場合、自分の主催したICLSコースに参加した指導者および学習者でメーリングリストを作っておりました。

このメーリングリストを使用して、指導者は公募していました。

上述した通り、キーになる指導者は確保した状況で、残りの指導者は公募でした。

時に、応募が多かったり少なかったりはしていましたが、

年間スケジュールを予め出していた効果もあって、指導者の数が足りずにコース開催できないことはありませんでした。

学習者

院内ICLSの場合、各部署から学習者を出してもらうので比較的容易に学習者を集めることが可能です。

私は、完全公募でコースを開催してきました。

当初、ディレクターになったばかりの時は、HPやメーリングリストで指導者を経由して宣伝してもらっていましたが、

学習者の応募が少なく非常に苦労した経験があります。

これを打開したのは、今では当たり前の存在SNS・・・ではなく、ポスターでした。

アナログなやり方ではありましたが、医局の関連病院にポスターを送付し、掲示してもらうことで学習者を公募しました。

学習者は看護師さんが多いので、看護師さんのロッカー前などに貼ってもらうようお願いもしました。

当初は募集人数の12人程度の応募でしたが、回を重ねるごとに応募が増え、倍率3倍超の人気コースとなりました。

ポスターを見て受講してくれた学習者が、自分の施設で口コミ宣伝してくれたことも大きかったようです。

満足度の高いコースを提供できていた証と思っています。

コースに必要な資機材の準備を準備する

画像:Laerdalより引用

事前の準備

コースに必要な資機材は数百万円するシミュレーター人形から100円の白板マーカーまで様々あります。

特にシミュレーター人形は、自施設に1体しかなければ、近隣の施設から借りなければなりません。

気管挿管セット、モニター付き除細動器などコースに欠かせない資器材は、事前に動作確認も含め準備します。

物品管理がずさんだと、「当日にシミュレーターが動かない」、「当日に物品がない」と慌てることになります。

物品管理のコツ

2ブース以上で開催することが多い施設は、物品管理をきちんとすることをお勧めします。

物品管理のコツ

  1. ブースごとに保管するボックスを分ける
  2. ボックスごとに物品に同一色のシールを貼る
  3. チェックシートで管理する

上述した物品管理のコツは実際に私が行っていた方法です。

私は除細動用のボックスと気道管理用のボックスを各々3つずつ、計6つの箱で物品を管理していました。

除細動Aは緑、除細動Bは青、除細動Cは橙、気道管理Aは赤、気道管理Bは黄、気道管理Cは白と色分けし、

各ブースの物品が混在しないように、すべての物品にシールを貼りました。

また、シールが貼ってある物品はチェックリスト(下図)にリストアップし、開催前と開催後にチェックを入れ確認しました。

確認した人の名前も記載し、記載後は事務局で保管するようにしていました。

事後処理

コース終了後には、なくなったり、壊れた物品の補充を行います。

またシミュレーター人形のように定期的なメンテナンスが必要な資機材は、メンテナンスも行います。

臨床現場の対応も日々変わりますので、実際の現場にあった物品に変更もします。

開催の事前申請・事後報告をする

事前申請

ICLSコースはコース開催日の2週間前までにコース申請が必要です。

開催日、コース開催地、開催都道府県、コース名称、ブース数、受講者数、指導者数、開催施設名、コース種別、一般公募の有無、公募する場合は公募期限と各ブースのブースリーダー、時間割ファイルを事前に申請します。

申請を忘れると、日本救急医学会の認定コースになりませんので、注意が必要です。

指導者も受講者も認定のないコースを開催しても実績になりませんから、責任重大です。

事後報告

コースが無事に修了したら、コース開催日から2週間以内に結果入力をします。

ICLSでは、当日に指導した指導者を一覧にしたエクセルファイル、当日に受講した受講者を一覧にしたファイルの2つをアップロードします。

こちらも提出していないと、日本救急医学会から「指導した」「受講した」認定が出ませんから、責任重大です。

私は、コース終了した翌日には提出するようにしています。

指導方針を明確にする

指導方針を明確にしよう

ディレクターとして、今回のコースの指導方針は明確にしなければなりません。

指導者Aと指導者Bで指導内容が異なっては、学習者はどっちを信じていいかわからなくなってしまいます。

基本は日本救急医学会ICLSコースガイドブックの内容に沿って指導をします。

ただし、ガイドブックも万能ではありません。

ガイドブックで迷うとき、コースではどのように指導するのか?

この細部を事前に決めておくのはディレクターの仕事です。

実際の例

たとえば、モニター画面でFlat lineの場合です。

「モニター画面で波形がFlat lineであったとしても、心停止と判断するのは要注意. (中略)

→リード・感度・誘導に問題ないかチェックする.

ただし、胸骨圧迫の中断が10秒以内となるように注意する.」

とICLSコースガイドブックには記載があります。

Flat lineを見つけたとき、リード・感度・誘導を確認するときに

再開した胸骨圧迫を中止して再確認するのか、それとも胸骨圧迫は中断せずに再確認するのか、悩みますよね。

そもそもリード・感度・誘導に問題ないかチェックする、は何をチェックするのか?

明確に答えられますか?

人によって答えが変わりそうな場合を事前につめておきます。

例えば、Flat lineを見つけたら、

「胸骨圧迫を直ちに再開し、リードがつながっているか、感度が1倍以上であるか、誘導がII誘導であるかの3点を確認する。

この際、胸骨圧迫は中断しない。中断したときに誘導を変えたいのであれば、2分後の波形診断時に変更した波形を確認する。」

としておけば、指導者全員が迷うことなく指導できます。

学習者からよく出る質問、指導者が明確に答えを出せないあいまいな部分を

事前にどう答えるか、決めておくことはディレクターの仕事です。

コース当日の割り振りを決める

割り振りを決める

指導者全員が余裕をもって準備できるよう、コース開催日の3,4週間前に当日の割り振りを決めて発表しましょう。

各ブースのブースリーダーとブースに入る指導者、周りでお手伝いしてくれるタスクフォースを決めます。

3,4週間前に発表するのには理由があります。

ブースリーダーがブースの役割分担を決める日数、ブースでの担当が決まった指導者が十分な準備時間を取れるよう配慮するためです。

あまり前に発表すると中だるみします。

事実、私も6週前に発表したことがあり、みんなが忘れかけていて1週間前にバタバタと準備が始まったという経験があります。

逆にディレクターが1,2週間前に割り振りを発表すると、準備期間が足りなくなります。

以上を踏まえて、私は開催日の3,4週間前に割り振りを発表するのが理想だと考えます。

ブース内の担当などには口出しをしません。

ブースリーダーに任せましょう。

あわせて読みたい
【第18回】ブースリーダーの事前準備と事後処理

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当日の緊急事態に対処する

当日に起きた緊急事態に対して、どう対処するか決定するのはディレクターです。

例を挙げたらきりがないとは思いますが、経験した緊急事態を挙げておきます。

緊急事態の例

  1. シミュレーター人形が全く動かなくなった
  2. 指導者の欠席が多数出た
  3. 受講者が遅刻してきた
  4. 昼食の弁当が届かなかった

2020年以降では「コース終了後に参加していた人から新型コロナウイルス陽性者が出た」はできれば経験したくない事態ですね。

想定しうる限りの緊急事態を想定し、手を打つ準備をしていきましょう。

いつも緊急事態は自分たちの予想のはるか上からふってきます。

まとめ

本日はディレクターの役割についてお話しました。

ディレクターは準備が9割、当日と事後処理が1割の仕事です。

ディレクターの役割

  1. コース開催日、開催場所を決定する
  2. 指導者・学習者を集める
  3. コースに必要な資機材を準備する
  4. 開催の事前申請、事後報告をする
  5. 指導方針を明確にする
  6. コース当日の割り振りを決める
  7. 当日の緊急事態に対して対処する

当日につつがなくコースが終了するとこの上なくホッとします。

では。

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じおーた

現役勤務医・投資家|2020年、ダーマ神殿で腎臓内科医から救急医に転職. 医学・医療・投資の学びで日々レベルアップする情報をブログ通してあなたにお届けします.2021年の不労所得は1,371,395円. Lv99を目指す旅は今日も続く…I♡DQ.

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