この記事で解決できる悩み
- フィードバックとはなにか?
- どうやってフィードバックしていいかわからない
- 上手にフィードバックしたい
『フィードバックの一言目に「やってみてどうでしたか?」って言ってませんか?』
本日の目次(タップすると飛ぶよ)
フィードバックとは
フィードバックとは
フィードバックとは「学習者の行動を良い方向に変えるためのもの」です。
つまり、学習者の行動が変わったときに初めて、フィードバックされたということができます。
そして、フィードバックは目標提示と対であるべきものです。
いわば、ミッキーとミニー、カンチとリカ、有吉弘行と夏目三久、松陰寺太勇とシュウペイ・・・です。
フィードバックとは
- 学習者の技術や知識の向上を促すもの
- 学習者の学ぶ意欲を促すもの
- 周りにいる学習者にも影響を与えるもの
フィードバックの種類
フィードバックには3種類あります。
フィードバックとは
- 肯定的なフィードバック
- 否定的なフィードバック
- 建設的なフィードバック
肯定的なフィードバック:ポジティブ・フィードバックとも言います。相手を「認める」もしくは「ほめる」ことで肯定的に印象付けます。
否定的なフィードバック:ネガティブ・フィードバックとも言います。学習者と指導者の信頼関係が構築されていないと受け入れにくい。ほとんどのものが建設的なフィードバックで置き換え可能です。
建設的なフィードバック:コンストラクティブ・フィードバックとも言います。より良くするために改善案を足して伝えます。
どうやってフィードバックしていいかわからない
フィードバックの一言目
フィードバックの最初に言うことはいつも決まっています。
それは、「提示した目標に関してフィードバックをする」ことです。
ICLSコースのシナリオでの一幕を例に挙げます。


・・・シナリオ中・・・
・・・シナリオ中・・・
・・・シナリオ中・・・
・・・おわり

提示した目標は「VFのアルゴリズムの実践」でした。
提示した目標に関してフィードバックするためには、アルゴリズムに関することから話すべきなのです。
目標提示に関しては前回やりましたね。
読んでいない方はこちらを確認してください。
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【第1回】目標を提示する(必須)
続きを見る
フィードバックでしてはいけない一言目
イケてない指導者は、シナリオが終わって「やってみてどうでしたか?」聞く人がほとんどです。
この質問では指導者が望む答えは学習者から返ってきません。
学習者も「緊張しました」とか「疲れました」と答えるケースがほとんどです。
コースという限られた時間の中で、ただ単に感想を述べるだけの時間も惜しいのです。
このやり取りがあってもなくても、指導者は次にどうせシナリオについてフィードバックを始めます。
フィードバックの一言目を意識して実践するだけで、あなたのフィードバックは見違えるものになります!

上手にフィードバックしたい
上手にフィードバックするのに意識すること
先ほどの提示した目標に対応したフィードバックをすることは前提です。
上手にフィードバックするコツを示します。
上手なフィードバックのコツ
- フィードバックする内容は2つ:1つのポジティブフィードバックと1つの建設的なフィードバック
- PICOを意識する
- 笑顔とジェスチャー
フィードバックする内容は2つ
人は一度に多くのことを言われても、すべてを記憶に残すことができません。
ですから、フィードバックする内容は2つにしましょう。
どうしてもという場合のみ3つまでフィードバックします。
基本は2つ、1つはポジティブフィードバック、1つは建設的なフィードバックをします。
提示した目標を、学習者が実践できていれば、1つ目のフィードバックはポジティブフィードバックできます。
もう1つは、さらによくするために、1つだけ「ここをこうするともっと良くなるよ!」とフィードバックしましょう。


・・・シナリオ中・・・
・・・シナリオ中・・・
・・・シナリオ中・・・
・・・おわり


逆に提示した目標を、学習者が実践できていなければ、1つ目のフィードバックは建設的なフィードバックをします。
もう1つのフィードバックは、よくできていた部分を褒めましょう!


PICOを意識する
PICOはPositive, Immediate, Clear, Objectiveの頭文字をつなぎ合わせたものです。
PICO
- Positive:褒める、認める
- Immediate:すぐに
- Clear:明確に
- Objective:客観的に
Positive
ほめたり、認めるフィードバックです。
「電気ショック、できていましたよ」や「アルゴリズム通りにばっちりできてましたよ」などのフィードバックです。
Immediate
すぐにフィードバックするべきかどうか、タイミングのことも含んでいます。
絶対にやってはいけないこと、いわゆる「禁忌」のことをしたときや提示した目標の実践ができていたときにつかいましょう。
提示した目標を学習者が実践した、その瞬間に「〇〇できていますね!」とフィードバックできると受講者は自信をもって次からも行動できます。
逆に、絶対してはいけないこと、例えばPEAの波形で電気ショック、をしたときは、シナリオ中でも止めてフィードバックすべきです。
これは現場でやったら取り返しのつかない事態になってしまうからです。
Clear
フィードバックをするときは、何についてフィードバックしているか明確にしましょう。
「電気ショックできていましたよ」と「電気ショック、安全にできていましたよ」ではどちらが明確でしょうか?
「胸骨圧迫できていましたよ」と「胸骨圧迫、5㎝以上押して、胸郭もしっかり戻していましたよ」ではどちらが明確でしょうか?
このように、指導者が指摘した点を明確にしていると、受講者も何についてフィードバックを受けているかわかりやすいです。
Objective
フィードバックするときに、客観的な指標やエビデンスをつかいましょう。
例えば、日本救急医学会 ICLSコースガイドブック P127,128に掲載されている学習到達度チェックの項目は、必修の項目なわけです。
「学習到達度チェックに掲載されている項目だから、習得しましょう」とか「学習到達度チェックに掲載されている項目、すべてできています」とフィードバックに使うこともできます。
笑顔とジェスチャー
何も言葉だけがフィードバックではありません。
指導者が満面の笑顔とともに するだけで、ポジティブフィードバックが伝わります!
笑顔やジェスチャーも取り入れてフィードバックしてみてください。
フィードバックのダメな例
最後にダメな例についても挙げておきます。
例1
「流れはよかったです」
流れがよくて嬉しいのは水洗便所とそうめんくらいのものです。
「流れ」をいうとうまくまとめて、褒めている感じがしますが、聞いている側(学習者)からすると、何を褒められているのかわからず、褒められたと感じません。
流れではなく、具体的なポイント、例えば安全な電気ショックとかVFのアルゴリズムなどを流れと置き換えましょう。
例2
これもよく見かけますが、「提示した目標」とは違うことからフィードバックするのはダメです。
学習者は提示された目標をクリアするために実技を行っています。
それなのに、提示されていない部分について指摘されても「???」とか「最初に言ったこととちがうじゃん」と思って終わるだけです。
まとめ
本日お話した内容は以下の3つです。
- フィードバックとは?
- フィードバックの基本例
- さらに上手なフィードバックをするための方法
以上になります。

では。
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【第3回】学習者の行動を見る(必須)
続きを見る
笑いと言えば・・・これですよね。