この記事で解決できる悩み
- コンセンサスや指導要綱ってなに?
- 提示する目標ってどうやって予習するの?
- コンセンサスや指導要綱はどうやって使うの?
『コンセンサスや指導要綱を読み込まずにコースの指導に行ってませんか?』
本日の目次(タップすると飛ぶよ)
コンセンサス・指導要綱とは?
コンセンサスや指導要綱は、『指導者が指導する内容が、どの指導者が指導しても同じになるように作成された手引き』のことです。
だって、同じコースを受けている学習者なのに、指導してくれた指導者によって教わった内容が違ったらおかしいですよね。
例えば、指導者Aは、心室細動で電気ショックをするとき、充電の間に胸骨圧迫をするように指導していたとしましょう。
指導者Bは、心室細動で電気ショックをするとき、充電の間に胸骨圧迫をしなくてもいいと指導していたら、学習者は同じコースを受けているのに習得内容に差が出てしまいますよね?
上の例のような細かい部分を、今回のコースでは「充電の間は胸骨圧迫をせずに、安全かつ迅速に電気ショックをさせます」と指導してください、といった内容を示すのがコンセンサスや指導要綱です。
ICLSでは、地域や主催するディレクターによって、ガイドラインに記載されていない細かい部分の解釈が異なることがあります。
ですから、独自のコンセンサスや指導要綱を作成しているコースでは、必ず当日の指導までにコンセンサスや指導要綱を確認しましょう。
内科救急コースのJMECCのように、全国で統一した指導要綱を用いていおり、すべてのコースで同じ指導要綱が基準になっているコースもあります。

提示する目標の予習にもコンセンサスや指導要綱を使う
【第1回】目標を提示する で『指導者が学習者に語り始めるとき、常に「明確な目標提示」がなされるべき』と書きました。
この提示する目標を考えるときにもコンセンサスや指導要綱の出番です。
私が主催するICLSコースのコンセンサスでは、ステーションごとに習得させるべき目標を「必須指導項目」として記載しています。
ステーションを任された指導者は、この必須指導項目すべてをステーション開始時に目標として学習者に提示すべき内容と考えましょう。
ステーションの中で学習者に実技をさせる指導者は、必須指導項目の中から、今からさせる実技では必須指導項目のなかのどれを提示する目標にするか、考えればよいでしょう。
1つずつ繰り返せば、ステーションが終わるころにはすべての必須指導項目を学習者が習得できた段階になっているはずです。
例えば、BLS+AEDのステーションでは、必須指導項目に①質の高い胸骨圧迫と換気ができる②安全に迅速にAEDを使用できるとあります。
ステーションを担当する指導者は①と②について、始めに学習者に提示します。
実技を担当する指導者は、BLSの実技をさせるときは、「まずは5㎝以上胸骨圧迫できることを目標にしましょう」と始めておいて、5㎝以上の胸骨圧迫ができるようにさせます。
次は「毎分100~120回のペースで胸骨圧迫できることを目標にしましょう」といった具合に、目標を分割して学習者に質の高い胸骨圧迫と換気を習得させましょう。
経験値の高い指導者でも、自分が当日提示する目標をコース前にコンセンサスや指導要綱で確認しています。
当日、きちんと目標提示をするためにもコンセンサスや指導要綱を読み込みましょう。

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【第2回】フィードバックをする(必須)
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コンセンサスや指導要綱の使い方
コンセンサスや指導要綱の使い方をまとめました。
3つの使い方
- コースのバイブル
- 辞書
- 手順書
コースのバイブル
自分が指導を予習しているときに、「ここはわからないな」とか「この部分の指導は迷うな」となったとき、必ずコンセンサスや指導要綱に戻りましょう。
キリスト教の聖書、イスラム教のコーラン、ユダヤ教のタルムードのようなものです。
私自身も予習段階で指導に迷う箇所があると、コンセンサスや指導要綱を必ず確認します。
辞書
指導当日に、学習者からの質問ですぐに返答できないときがあります。
そんなときは、コンセンサスや指導要綱を辞書として使いましょう。
「コンセンサスや指導要綱にはなんて書いてあったかな?」と確認しましょう。
手順書
コース主催者からコース当日にどのような手順で学習者に指導するかをまとめてあります。
プラモデルやレゴブロックの設計図のようなものです。
指導の順番、指導内容をどこまで細かく指導するのか、などが必ず記載されているはずです。
まとめ
本日お話した内容は以下の3つです。
- コンセンサスや指導要綱ってなに?
- 提示する目標ってどうやって予習するの?
- コンセンサスや指導要綱はどうやって使うの?
以上になります。

では。
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【第5回】フィードバック時の立ち位置と視線
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バイブルの例で出したユダヤのタルムードです。
全世界で0.25%しか占めないユダヤ人ですがノーベル賞受賞者の20%を占めています。
そんなユダヤ人が幼いころから読み聞かせられるのが、ユダヤ人の叡智が詰まった『タルムード』です。
ユダヤ人は予想できなかった事態なんてありえないことで、ありとあらゆる可能性を想定することを癖づけています。
