この記事で解決できる悩み
- シナリオをどうやって進めていいかわからない
- シナリオ中、ずっとしゃべっている(気がする)
- 学習者の動きがシナリオから外れると不安で仕方ない
『シナリオ中、学習者にずっと話しかけていませんか?』
本日の目次(タップすると飛ぶよ)
シナリオの進め方
上手な指導者がやっていること
上手な指導者がシナリオ中にやっていることは、1つだけ『学習者の言動を注意深く観察する』ことです。
1つだけ例外があります。
それは、絶対にやってはいけないこと、いわゆる禁忌を学習者がしそうになった、した時は即時介入しなければいけません。
例えば、PEAなのに電気ショックしようとした、とか、電気ショック時に空中充電(Air in puddle)したときは、絶対、介入します。

実際の進め方
シナリオに入る前、適切な目標を提示し、状況設定を説明したら、学習者にシナリオを実践させます。
シナリオ中は、必要な進行(学習者から問われたらカルテの内容や身体所見、検査結果を伝えるなど)以外のことはほとんどしません。
もしシナリオ中に学習者の動きが止まっても、少し待ちましょう。
静かな雰囲気に耐えられない指導者が多いのも知っていますが、声をかけてはいけません。
「次どうするんだっけ?」とか「次はこれだったかな?」と考えているかもしれません。
シナリオ終了後、学習者全員にフィードバックをしたら、そのシナリオは終了です。

実際の進め方(例1)
今回もICLSを例にしていきます。
VFのセクションで、2人目の学習者がリーダーとして実践することを想定します。


・・・シナリオ中(見守り)・・・
・・・シナリオ中(見守り)・・・


・・・シナリオ中(観察)・・・
・・・おわり

例のように、上手な指導者はシナリオの進行以外は学習者の言動をしっかり観察しているのです。
見守るだけではなく、観察しています。
学習者の言動をしっかり観察しているからこそ、必要な状況設定は適切なタイミングで情報を提供しますし、
シナリオ後にも適切にフィードバックできるのです。
実際の進め方(例2)
次の例は、実際に指導している看護師さんからの質問を例にしています。
学習者がシナリオ実践中に、全員黙ったまま、動かなくなってしまいました。
指導者は(声をかけたほうがいいかな・・・)と思いつつ、(考えている最中かもしれない)と思いなおし少し待ちました。
20秒待ってみましたが、学習者は動きません。

冒頭の看護師さんは、リーダーに直接声かけすると言っていました。
リーダーに「なにを考えていますか?」とか「なにで困っていますか?」と直接はなしかけるのもありです。
ただ、リーダーに直接声をかけると、学習者全員が指導者に注目してしまう可能性が高いので、シナリオがいったん途切れてしまいます。
私なら、メンバー(学習者)の1人に「リーダーが困っているので、助けてあげてください」とこっそり耳打ちします。
この方法は、シナリオの流れを切らない、かつチーム医療を意識させられるという2点がメリットですね。
絶対やってはいけないシナリオの進め方
絶対にやってはいけない指導「誘導」
絶対やってはいけないシナリオの進め方は、『指導者が学習者を誘導しながらシナリオを進めること』です。
経験の浅い指導者や指導に自信のない指導者がよくやるシナリオの進め方です。
考えてみてください。
学習者の最終目標は『普段の臨床現場で、今日習ったことを実践できる』です。
決して、「今日のコース中に失敗せずシナリオをこなす」ではありません。
コースでシナリオを上手にこなしても、現場にもどって実践できないなら全く意味はないのです。

「誘導」しているシナリオの進め方(例)
次のようなことをしているときは、「誘導」になっちゃっている可能性が高いです。
「誘導」の例
- 学習者の動きが止まるとすぐに「次は〇〇するんじゃなかったですか?」と話しかける
- 学習者が間違えたらすぐに「それはアルゴリズム通りですか?」と訂正する
- 自分の間がもたないから、学習者に常に何か話しかけている
学習者にも考える時間が必要です。
学習者が止まったら、「次になにをするか」考えているのかもしれません。
なぜ「誘導」してしまうのか?
経験が浅い、もしくは自分の指導に自信がないから、「学習者が自分の想定を外れることが怖い」ことが一番の要因です。
だから、学習者が自分の想定を外れないように、道を外れたら無理やり元の道に戻るように「誘導」しているケースがほとんどです。
断言しますが、「目の前でシナリオを完璧にできた」=「現場でもきっとできるはず」は間違いです。
指導者に誘導されたことを、学習者がそのままやって「シナリオをこなせたように見せる」ことに意味はありません。
「誘導」しなくていいようにするには・・・
『フィードバックを磨く』に限ります。
学習者が、完璧にシナリオをできなくても、多少間違えても、フィードバックで次からの行動を変える自信があれば、シナリオ中に「誘導」する必要はなくなるからです。

まとめ
本日は、シナリオの進め方で上手な人の進め方とやってはいけない進め方についてお話しました。
シナリオ中は学習者の言動を注意深く観察しましょう!
学習者の言動をしっかり観察していれば、シナリオ後に適切なフィードバックができるはずです。
シナリオ中に”絶対”やってはいけないことは「誘導」です。
以上になります。

では。
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【第8回】学習者からの質問への対応
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